はじめに
日本と朝鮮は145年前に通商修好条約を結んで交流が始まり、111年前の日韓併合により、朝鮮は日本の一部になりました。
併合前の朝鮮は、国王や王妃の贅沢三昧と売官売職、官吏の収奪と横領、不正と拷問の巣窟の司法、農民の自衛のための怠惰、両班の農民支配と搾取、働かず納税せず兵役に就かない両班、強固な身分差別と物としての奴婢、農業と家内工業だけの産業、金融機関の絶無と貨幣の紊乱、儒学と漢文だけの書堂(貴族の書斎)での教育、鉄道と港湾は無く、人と牛馬しか通れない道路、幼稚な商業、電力・通信の絶無、不衛生な生活環境と伝染病の流行、悪臭と汚物と狭い道と家が密集したソウルや釜山、草木が全て刈り取られた禿山、迷信と巫女が頼りの病気治療、風水地理説などの迷信の蔓延、度重なる飢饉での餓死者の放置など、絶望的な悲惨な状態の王朝であったことが歴史的に知られています。
この手の付けられない状態の朝鮮を、莫大な資金と多くの人材と進んだ技術を投入して近代的な国民国家に改造したのが日本の朝鮮統治の実態です。
それにも拘らず、韓国は今や反日国家に成ってしまった感があります。その原因は徹底した反日教育にあるといわれているので、韓国の高等学校の歴史教科書の日本に関する記述の信憑性を検証しました。
検証の仕方は、『韓国の教科書』の記述と、それに関連する歴史書と朝鮮総督府が残した施政年報と統計年報とを対比しました。
日本による朝鮮統治の事実を事実として、偏見なく日韓双方が共通認識として持つことが関係改善の出発点だと思います。
なお、現在につながる韓国の対日認識を示す発言が、1953年10月27日の国会に於ける“日韓会談「久保田発言」に関する参議院水産委員会質疑”の速記録の中にあります。
三十六年間の朝鮮の統治というものは……これは非常に向う(著者注:韓国)は力を入れて言いましたけれども、少し向うの発言を要約紹介いたしますと、非常に興奮的なものであって、強制的な占領である、そうして日本は貪慾と暴力を以て侵略したのであって、そうして朝鮮の自然資源を破壊したのである、言論の自由も何もなくて、朝鮮人は奴隷状態になったんだということを非常に強調したわけでございます。
これに対して久保田首席代表は次のように応えています。
総督政治の良かった面、例えば禿山が緑の山に変った。鉄道が敷かれた。港湾が築かれた、又米田……米を作る米田が非常に殖えたというふうなことを反対に要求しまして、韓国側の要求と相殺したであろうと答えたわけでございます。(この日韓会談は1952年に行われました)
この久保田発言に韓国が反発して、日韓会談は約4年間も中断されました。韓国は、日本の朝鮮統治時代の近代化への貢献や発展の事実を絶対に認めようとしません。なお日本の一部にも、日本の朝鮮統治は全て悪であり、たとえ事実であっても良かったことや近代化への貢献を論じることは植民地支配の美化であり許せない、と考える方々が居られます。
この本は、特定の主義主張や観念や意図に囚われずに、日本統治時代の諸事実を日韓双方が共通の認識として持てるように、『韓国の教科書』の記述と対比して、日本が行った事項とその結果を提示します。その評価や判断や認識は読者に委ねます。